起業支援、コンサルティングサポートをする中で、私が一番最悪なケースと考えるのは「全てやり直しが望ましい」という場合が最善策だった時です。
もう一度ゼロから構築し直す必要があるため、3ヶ月や半年という期間だけではどうこうできない事柄が起きたりします。その多くの原因は「自分らしさ」を無視してきた結果だったりします。
作り上げてきたものの崩壊
あくまで短期間での修正が難しいというだけで、長期的に、人生的な観点から眺めれば最悪でも何でもないのですが、一時的な目の前の売上が苦しくなるのは必然のため、冒頭、そのように書かせていただきました。
一般的に「戦略」を練る時に大事なのが「過去うまくいったこと」を含めた、フィードバックの集積になります。
新しいアイデアや発想、または新しいスキルやノウハウに頼ろうとすることは確率を下げるため、売上のためというよりも、可能性を拡張させるために取り入れることが普通です。
ただし、この過去にやってきたこと全てを「もう二度とやりたくない」という場合があります。
望まないお客たち
もっとも代表的なのが、これまでのやり方では自分の望むようなお客が集まらないという状況です。
例えば、自分の発信が「私も昔は自信がありませんでした」「昔は私も不幸でした」ということが中心の場合、今現在わたしがそのような状況です、というお客が集まりやすい、ということになります。
そうすると、自分のネガティブ発信をすればお客が集まるのは分かっているけれど、その方法はもう取りたくない、これ以上ネガティブなお客が集まると自分が潰れてしまう、という状況になったりします。
うまくいったことの否定
例えば地元地域での集客には成功していたけれど、そろそろ町の人口を考えても新規集客はこれ以上厳しく、それであればインターネットを使った全国集客などに切り替えていこう、と考える場合が該当します。
今以上にビジネスを発展させていく、新規集客を成功させていく。そう考える時に、これまでの地域密着型の集客など、うまくいってきたことを活かせない(という思い込み)がビジネスを停滞させます。
過去にうまくいったことがもう使えないと否定するために、新しい確率の低いことをやろうとする場合です。
過去の栄光が通用しない
SNSの仕様変更などで、過去の集客パターンが使えなくなる場合や、市場の縮小によって撤退を余儀なくされる場合です。
個人起業家にとって身近なところでは、フェイスブックの友達の数さえ多ければ集客できていたのが、もはや「友達の数=集客」という前提が仕様変更で起きたことや、
もっと大きな例でいうならば、スマホの普及でデジタルカメラの需要が減ったり、ロボットの普及で単純作業の仕事が減ったりすることがあると思います(映画館のスタッフが券売機に変わってしまった衝撃は忘れられません…)。
弱みの改善依頼による失敗
確固たる戦略を作るために不可欠な「過去うまくいったことのフィードバック」を否定する考え方は、ビジネスを一気に滞らせる原因の1つになりますが、他にも致命的な考え方があります。
それが、弱みの改善を真っ先に行おうとする考え方です。
文章が苦手なブログ集客
文章というのは、これまでの良質なインプットの蓄積と、理解を深めるためのアウトプット、そして、自分の考えを突き詰める姿勢と、適切に伝えるためのテクニックなど、いくつかの強みが要求されます。
往々にして文章が苦手な人というのは、そもそもの読書量が足りていなかったり、日頃から文章を書く習慣がなかったり、ものごとを深く考える姿勢を持っていなかったりします。
そういった弱みが見て取れる場合、ビジネス的に売上を上げていくことはかなり難しくなります。
なぜなら、成果を取るのはいつも「強み」が生かされる時だからです。
弱みをカバーして良いのは、自分の強みを上限まで使い切って、これ以上は専門家の力などを借りないと、弱みによって強みが制限される、足を引っ張られる場合だけです。
最初から成果を出せないことが分かっている弱みを改善したところで、何の成果も取ることはできません。
直感型人間の戦略会議
私は基本的に「左脳型」の「論理思考」で、直感をベースにものごとを判断することはありません。
インスピレーションやひらめきを疎かにするということではなく、こうやるからこういう結果が出るという道筋を先に明らかにして、得たい成果を得られるように行動を組んでいく、ということをします。
そうすると、これまで「右脳的」に「直感」を頼りに経営していた人が、「もっと考えながら戦略を立てて、売上をもっとコントロールしたいです」と言ってきたりします。
するとどうなるかというと、これまで右脳的な直感をベースに成果を上げてきたことを保留にし、これまで成果の上げられなかった「戦略」の力で売上を作ろうとするので、当然売上は上がりません。
売上を作れなかった方法で売上を作ることは、まずもって可能性が低いのです。
センスがない人の執着
自分のやりたいことへの執着、自分の作った商品への執着、場合によりかなり危険です。
どういうことかというと、これまで売上を作ってこれた方法であれば「やりたいこと」でも「売りたい商品」でもある程度売れることはあると思いますが、
これまでうまくいかなかったのを、コンサルタントの力を借りればどうにか売ることができるんじゃなかろうか、という発想の元で依頼をしてきた場合、どんなに優秀な人の力を借りたとしても、その商品が売れることはありません。
売れないものを売れるようにすることはできません。売れるものをさらに売れるようにするから、売上は伸びていきます。
同様に、そのビジネスで達成できる売上の天井が低いにもかかわらず、どうにか専門家の力を借りて売上を伸ばそうと考えるのも、ほとんどがムダな努力に終わります。
ビジネスのセンスがないということは、売れないものを売れるように努力する考えにあったりします。
自分らしさを取り戻すことが最優先
ここまでに紹介した2つの最悪なパターンは「積み上げてきたものの崩壊」と「弱みの改善依頼」でした。
うまくいってきたことを否定したくなる心理と、弱みの改善依頼を申し出る心理に共通しているのは、自分が何によって成果を出し、どのような状態でいることがもっとも望む成果を生むのかを知らないことから始まります。
いうなれば、これまでの起業活動を「偽りの自分」で行ってきたがゆえに起きる衝動、とも言うことができます。
本来の自分が何かを知る
スキルやノウハウに頼ろうとしたり、資格や専門知識に頼ろうとすることは、自分の能力を高めていく一方で、本来の自分を見失わせる原因にもなったりします。
要は、鎧や武器で武装してしまっているがゆえに、中身の人間の個性やパーソナリティーが見えなくなっているような状態を言います。
本来の自分の嗜好が何なのか、個性はどんなもので、どういう状況や状態を素の自分が作り上げているのかを知らないことには、適正な武器も防具も選ぶことはできません。
多くの場合、周りからはその人の「素」が見えていても、本人には自分の「素」が見えていないもの。これを改善するためには、周りからのフィードバックを有効活用する必要があります。
成果を出してきた力を知る
自分の過去の成功パターンを振り返れば、どんな力によって成果を上げてきたのかが見えてきます。
このとき、本来の自分ではない、武装した自分でしか成果を取ってこなかった人にしてみると、過去の成功パターンで生かしてきた力のほとんどが「ニセモノ」の偽りだったりするので、望まないお客が集まりやすくなったりしています。
そうすると完全な振り出しに戻ってしまうので、自分がいま何を手放すべきかをよく考える必要があります。
自分に素直に、自分らしく成果を積み上げてきた人は、自分が成果を作ってきた力が何なのかをフィードバックによって見極め、それをさらに生かすことを考えていきます。
間違っても、苦手なことや弱みの改善によって、新しい取り組みを考えることはNGです。
さいごに
多くの場合、コンサルティングを依頼する人の大半は「ビジネスがうまくいっていない」という状況に痛みを感じてお申込みをしてきたりします。
確かにコンサルタントの使い方、要は専門家の力を借りたいと思う時は、自分が苦しい時や弱っている時がほとんどかもしれません。
ただ一方で、自分がすでにうまくいっていることをさらに伸ばすためにコンサルタントの力を借りる、という方法もあり、どちらかというとこちらの方が健全なイメージです。
よく考えてみると…、個人起業家市場のほとんどは、痛みや悩み解決の手段としてコンサルティングを依頼していますね…。
ただ、うまくいっていない時に、マーケティングの力を身につけようと思ったりすることは案外逆効果で、実はそうではなく「本来の自分」を取り戻すことや、成果を生み出してきたものごとが何かを突き詰めることの方が成果に直結したりします。
これまで集まってきていた客層を変えたいとか、これまでの集客法では限界があるからやり方を根本から変えたいと願う依頼のほとんどは、実は「無理ゲー」というか、本当に無茶振りレベルだったりします。
そうではなく、本来の自分で、自分ならではの強みを生かしながら成果を上限まで伸ばしてきて、これ以上は自分の弱みが強みの足をひっぱるな、カバーしなくちゃいけないな、という時に専門家やコンサルタントの依頼をすることの方がより望む結果を出しやすくなります。
私でいうならば、オンラインツールを使った【ブログ×SNS×メルマガ】などの戦略を強みとして使ってきましたが、そもそも戦略というのは大きな枠組みがあって初めて使うもの。
起業する、と決めるから起業を成功させるための戦略が生まれるわけで、最初から「会社員のままで生きていく」とするならば、そもそも起業を成功させるための戦略なんて要りません。
前提があるからこそ戦略が必要になります。
私が自分の強みを上限まで使ってきて感じたのは、どの枠の中で戦略を練るのかという、枠の選択に弱みがある、と感じたことです。
言い方を変えれば「ビジョンの設計」が苦手で、その枠が狭ければ狭いほど、発揮できる戦略の力も弱まる。
つまり、弱みが強みの足を引っ張る、という状況が生まれてしまいました。そんな背景から、2017年の4月からは外部のコンサルタント事務所の方の力を借りて、より強みを生かし成果を取っていく、という方向へシフトしています。
あなたももしコンサルタントに売上アップとか起業を成功させるためのアドバイスを求めようと考えいるのであれば、本来の自分のままでどんな成果や状況を作り出せる存在で、より大きな成果を生むためにどんな強みを持っているのかをフィードバックによって把握した状態で依頼すると良いと思います。
よくよく考えてみると、そもそもコンサルタントの力を借りなくても最初のお客様を何人か集めるぐらいの技量がなければ、これからの起業生活を送ることは厳しいはずです。
本やブログなどでも多くの情報やノウハウが手に入る時代です。
まずはベースとなる自力の力に、どれだけのビジネスセンスがあるかを見定めてから依頼しても遅くはないと思います。