起業について学んだ人であれば 一度は耳にしたであろう「ペルソナ」。
あるところでは、”たった一人の理想のお客様” のことだと教えています。またあるところでは、”お客様をひとりに絞り込みなさい” と教わります。
これ、言葉としては合ってますがそのままに受け止めると どうも変なことになります。
以前にもこのテーマで記事を書いてきましたが、改めてもう一度、この「ペルソナ問題」と向き合ってみたいと思います。
個人ビジネスの業界に飛び込んで5年目、いまの私が語る「ペルソナ論」です。
ペルソナは “複数” という大前提
まず大前提として、「ペルソナ」というのは確かに一人に 絞り込まれたカスタマー像です。
ただし!「ペルソナは、複数いる」ということを理解しておく必要があります。
昨日書いたメルマガにもペルソナがいて、 今日書いたメルマガにもぺルソナがいる。そういうニュアンスです。
もう少しくわしく説明するならば、バックエンド商品にたどり着く 最終的なペルソナもいるけれど、その人が初めてフロント商品を購入した時のペルソナもいるということ。
同じ人物であっても、時系列によっては別ペルソナになる。そういうニュアンスがあります。
そしてたとえばですが、個人起業家の世界でよく言われたのは、「ブログを書く前にペルソナを決めなさい」という話だと思います。
時系列でいうならば、
- まだあなたのことを知らない
- 業界のことも知らない
というような、入門者の頃のペルソナを ふつうは描きます。ですがよく考えてみると、「ブログの読者だって一人なわけじゃない」ということに気づきます。
ですので、究極的には、記事ごとに「ペルソナ」がいます。
そうなると、
「だったら最初からペルソナなんて 決めなくていいじゃん!!」
ということにもなりかねないのですが、実はそうでもないんです。
ペルソナは平面ではなく立体的に捉える
とはいえ、やっぱりペルソナはいるんです。
事業を立ち上げて、ある程度までの軌道に乗せることができる人たちは、ほぼ瞬間的に、適切なペルソナを描くことができているはずです。
なぜなのか? もしかすると「ペルソナを立体的に捉える」ということを意識しているかどうかという話かもしれないと、私はある日、気がつきました。
私の感覚だと「ペルソナ」が大切なのではなく、ペルソナを使って導き出した「エンパシーマップ」の方がよっぽど大切です。
これは、
- 見えていること
- 言っていること
- やっていること
- 感じていること
- 聞こえていること
- 考えていること
- ゲイン(増やしたいこと)
- ペイン(減らしたいこと)
を書き出すワークです。初めて聞く方はこちらのサイトを参照してみてください。実例付きでわかりやすく説明してます。
引用サイト:企画書・提案書の書き方なら「ひらめきEX」
本の出版企画書を書くときにも絶対にやってはいけないと言われる タブーがあります。それが、
「40代女性のための〇〇」
というように、ターゲットを限定させてしまう企画の立て方です。
これは私たちのような個人の ビジネスでも同じです。ドモホルンリンクルですら、「30代からの~」です(※本当に限定したいなら別です)。
そうではなくて、
- ちょっと疲れたときに読む本
- 転職したいと思ったときに読む本
- 集客に困ったときに読む本
- シミが気になったときに読む本
- なかなか眠れないときに読む本
というように、状況や気分、感情など、全年齢層に対して起こりうる部分 で絞り込む必要があります。
ペルソナの話もそうで、本当は「ライフスタイル」で絞り込みます。
例えとしてユニクロが有名ですが、あそこは「カジュアルな服がほしい」と思ったときに立ち寄るお店です。
つまり「ペルソナ」がなぜ必要かというと、「エンパシーマップ」を書くためです。そしてさらに立体的に見るために、「カスタマージャーニー」という視点からも考えます。
「カスタマージャーニー」を 初めて聞く人はこちらの記事をどうぞ↓
引用サイト:LISKUL
私たちに馴染みのある表現をすれば、「ブログ~バックエンド購入」までのお客様の動きを図解するものです。
どんな気持ちでブログを検索し、どんな気持ちでメルマガ登録し、どんな気持ちでメルマガを読み、どんな気持ちでフロントセミナーにお申込みをし、
どんな気持ちで体験セッションを受け、どんな気持ちで本命商品の購入を 決定し、お支払いの際に何を思うのか?
本当はもっとくわしく、ブログを読んだ人は次にプロフィール のページを読んで、それで次に…みたいな感じです。
すべてのタッチポイント(接触点) でペルソナの心境は変わります。その心境・ 感情に合わせて私たちはさまざまな情報発信をするわけです。
女性顧客が対象なら必須の「ライフコース」
ここまでをまとめると、まずは「ペルソナ」を描いて起点を作る。
そこから、「エンパシーマップ」を描いてライフスタイルで絞り込む。そして、「カスタマージャーニー」によってタッチポイントごとに発信を変える。
そのための「ペルソナ」です。起点づくりのための「ペルソナ」です。
…ということを、個人レベルの事業であればざっくり把握しておけばひとまず良いのかなと思います。
これが女性ファッション誌みたいな、細かくセグメント化された分野で商品展開をするのであれば話も少し変わってきます。なぜなら、複雑化した女性のライフコースに合わせて緻密な設計が必要だからです。
さきほど「40代のための〇〇」はNGという話をしましたが、女性向けのサービスであれば、
- 「働くママ」
- 「子育てママ」
というカテゴライズもNGです。
働くシングルマザーと働く共働きママでちがいますし、正社員の子育てママと、専業主婦の子育てママではそれもまたちがいます。
引用サイト:ヘルスケアビジネスの女性マーケティング最前線が分かる|ウーマンズラボ
いずれにしても共通するのは、
- 「ライフスタイルで絞り込む」
- 「悩みや感情ベースで絞り込む」
という2点だけです。ここだけを押さえておけば、個人事業の場合では大きく外すことはないと思います。
何のためのペルソナか?
決して、お客さまをひとりに絞り込むためのペルソナではありません。これが、個人事業レベルでペルソナ設定をする場合の、私の見解です。
そもそも「ペルソナ」というのは、膨大な顧客データをサンプリングしながら作成し、中規模以上の企業の中で働く社員同士の認識がバラバラにならないために作られるという側面があります。
実際のところ、個人レベルの事業者の話す「ペルソナ」というのは、一般企業やマーケティング部署の担当者がいうところの「ペルソナ」とは似て非なるものです。
まとめ
ですので、ここまでをなんだかやたらと小難しく、論理的にいろいろと話してみましたが、
つまるところ、
「今日はだれのために、どんなことを想ってお手紙を書いたのかな?」
という、小学3年生ぐらいの子どもにママが話しかけるようなイメージさえ持っていただければ良いのかなと思います。
これを論理で書くと、
- ペルソナ
- エンパシーマップ
- カスタマージャーニー
- ライフコース
というだけです。ぜひ、ご参考までに。