セルフブランディングとは、あなた(商品・サービス)の価値や強みを打ち出し、ライバルに対して競争力を持たせる手段です。
そしてその効果を最大化させるために必要な「2つの戦略」があります。
それによって人を惹きつけて止まない「あなた」という個人のブランド力が高まります。
では、どのようにして私たち個人(個人事業主、フリーランス、など)はセルフブランディングをしていけば良いのでしょうか。
詳しくみていきます。
個人のブランドを高める2つの戦略
個人のブランディング(=セルフブランディング)をする場合には、「人」と「商品」という2つの視点から戦略的PR を組んでいく必要があります。
では具体的に、どのように視点を取り入れたら良いのでしょうか?
「人」を戦略的にPR する
意外に思われるかもしれませんが、あなたにとっての「本音中の本音のエゴ」を表に出したり、自分がコンプレックスにこれまで感じてきたことを表に出す。
これが「人」を戦略的にPR していくときのコツになります。
人は着飾ったものに共感することはありません。
成果を生むセルフブランディングとは、共感され広がっていく力が備わっているものです。
ただし、外へ打ち出していくにあたっての「編集・加工」の技術は必要ですので、それは記事の後半でお伝えします。
「商品」を戦略的にPR する
これはマーケティング用語に言い換えると、「ポジション戦略」や「ポジショニング」と言われるものに該当します。
理想とする顧客像(ペルソナ)ごとに、どこを切り取って見せていくこと反応が得られるのかという引き算戦略です。
なぜ引き算なのかというと、対象(ターゲット顧客)によって、響くメッセージ、訴求ポイントが変わるためです。
具体的に説明するにあたって、カルビーの「フルーツグラノーラ」のブランディング戦略が有名なので、事例としてかんたんに紹介させていただきますね。
実は、シリアルというのはそもそもの打ち出し方(メッセージ)が次のようなものでした。
ご飯やパンの代わりにシリアルを食べてほしい
という、非常に押し付けがましいものです。
パン派やごはん派の方に響くはずもなく、実際のところ当時のシリアル消費に関するデータによると、77% もの消費者がそもそもシリアルを食べていなかったというのです。
シリアルは「簡単に食べられて健康的」というPRによって、「手抜きの商品」というネガティブな印象を消費者に持たれてしまっていた。
ということを裏付けるにあたって、十分すぎる数字なのではと思います。
そこでカルビーの考えたPR戦略が次のようなものでした。BRANDINGLAB さんの記事から引用します。
まず、ネガティブなイメージの「シリアル」という言葉は使わず、「グラノーラ」へ言い方を変更。副食として食べてもらうという新しい食べ方の提案も、メディアや店頭での試食販売で行いました。
- シニア女性向けには、ヨーグルトを使って「かむヨーグルト」
- ヨーグルトに『フルグラ』を加えて食べると栄養価が上がり健康に良い
- 子供が好んで食べるパンケーキと一緒に『フルグラ』を食べることでフルーツの甘みでおいしくなり、さらに身体に良い食事になる
- 流行っていたマグカップ料理に噛む食感を加える「噛む足し」の訴求(これにより秋冬も売れるようになった)
個人が自分をブランディングしていく際も考え方は同じで、自分の提供するサービスはここが他とは違うという訴求ポイントを明らかにし、
それによってお客様はこのように変化するというBefore After を明確に伝えることが大切になります。
ここをお客様不在のまま商品やサービス開発をすると、メソッドやノウハウは面白いし納得感はあるけれど、実際の現場ではうまく通用しない、ということが起きがちです。
ですので、常にお客様目線を忘れず、自己満足型の商品にしないことが重要です。
人と商品をどのように編集するのか?
「人」と「商品」を編集し、この両方から戦略的にPR していくことが、セルフブランディングを成功させるためのポイントになることまでを説明してきました。
次に具体的な編集方法に入りますが、これは「人」も「商品」も同じで、6つの切り口からメッセージを加工していくことが可能です。
さっそく見ていきましょう。
新規性を打ち出す
あなたの経験、または商品の特徴として「目新しさ」があるものを見つけます。
目新しいということは、他にはどこにもない、誰もやったことがない、という意味でもあります。
優位性を打ち出す
実績、受賞歴、創業年数、などなど。
他と比べて優位なものを打ち出します。この時に、他では知り得ない内部情報などを持っていることも優位性を高めるポイントになります。
仮にあなたがセミナー講師だったと仮定しましょう。
転職であれば採用側の人事部の情報、マスメディアであればテレビ局の採用基準などをもし知っていたりすると、これほど優位なことはありませんよね?
意外性を打ち出す
他者があなたをみて「意外」と感じるポイント、もしくは業界からみて「非常識」な特徴がある商品というのは、意外性となり大きな訴求力を持ちます。
人間性を打ち出す
「人」であれば、過去の挫折経験やコンプレックスの取り組みが共感を呼びます。
「企業」であれば商品の開発ストーリーや、業績のV字回復ストーリーが共感を呼ぶでしょう。
社会性を打ち出す
人ごと、他人ごと、自分ごと、という表現があると思います。
ここでいう社会性とは「社会ごと」という意味で、社会全体で「私たちの問題だ」と思えるようなメッセージは多くの人に刺さります。
環境破壊や地球温暖化、など。考えてみると色々ありますね。
貢献性を打ち出す
社会貢献、ボランディア精神のあるものというのはPR したときに取り上げられやすい側面があります。
あなた個人の取り組みでも、事業としての活動でもよいので、貢献性を感じるものは共感され広がりやすい特徴があります。
編集後、どこに打ち出すか?
基本的には「メディア」をうまく活用することをお勧めします。
PR においてシンプルな方法は「プレスリリース」を出すことですが、もっと個人レベルで、そこまでする必要がないという時には、次の考え方を持ち込むと良いと思います。
PR は、他人の影響力を活かしながら広げていく。
そして、win-win を提案し、徹底的に相手を勝たせる。
具体的には、「インフルエンサー」と呼ばれる人たちにコラボができる企画を持ち込んだり、
同様に、メルマガリストやLINEフォロワーの多い「リストホルダー」、高いPV数を誇るブロガーさんや、あなたの見込み客属性に近いリストを持っている「濃いリストの保持者」へのアプローチを考えます。
まとめ
セルフブランディングと聞くと、オシャレなロゴをデザインしてもらったり、モデルのようなキレイな写真をインスタグラムに載せるとか、そういう印象があるかもしれません。
ですが、その表層に至るまでに深部で練り込まなくてはいけない戦略があります。
それこそが今日の記事でお伝えした「2つの戦略」(人と商品の両側面から戦略的にPR していく)になるわけです。
セルフブランディングと聞くと、まず最初にSNSやブログをイメージする方も多いと思いますが、実際は真逆だったりします。
SNSやブログというのは、セルフブランディングによる戦略的PR によって接点ができた人たちとの関係性を深めていく場合に使うのがベストな方法です。
参考:意外に知られていない? 勝手に売れてしまう商品コンセプトの作り方