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コラム

女性起業家支援の全国ネットワークを調べてみた

通勤する女性の画像

経済産業省の情報を元に、国や行政という視点からの起業コラムを書いてみたいと思います。

私の運営するこちらのサイトもそうですが、SNSやメルマガを中心とした情報収集にはどこか偏りが生まれます。

具体的には、ネットビジネスやアフィリエイト、MLM(マルチレベルマーケティング)の情報が混じるということです。

それが良い悪いということではなく、様々な視点から物事を捉えることが、自分自身の中に確かな価値基準を作る上での大切なプロセスということです。

平成28年度の起業支援報告書から

スマホで情報収集する女性の画像

経済産業省の発表する、女性起業家支援ネットワークの活動報告書がウェブ上にアップされています。

231ページに及び大ボリュームですが、具体的なデータなどを元にした女性起業の実態をみることができます。

活動報告書・女性起業家支援事例集

安心したこと

私も隅々まで読ませていただきましたが、とても勉強になるものばかりでした。

と同時に、アメブロやフェイスブックから始まったネット起業ベースのやり方も、やはりアリだなという確信が芽生えました。

というのも、その多くがアメブロやフェイスブックページなどを自分たちのメインウェブサイトとして紹介していたからです。

スタートはみんな同じ。

あとはその志の大きさであったり、周囲を巻き込む力、信念を貫く力。

それらをビジネス立ち上げ後にどう展開していくのか、ということなんだなと思いました。一方でそれに関する部分で、懸念も生まれました。

懸念すること

ネット起業を中心にした女性コミュニティや起業支援ではどうしても偏りが生まれます。

具体的には、

  • 飲食店などの他業種ノウハウが足りない
  • 会計や税、法律のノウハウが足りない
  • 活動スペースなどのインフラ提供が足りない
  • 融資などの資金援助サポートがない
  • 海外出展や上場のためのノウハウが足りない

という部分です。

そういった時に、公的機関のサポートを借りる力や、必要な時に情報へアクセスできる力が必要になってくるのだと思います。

起業をしようかどうかと考える時点では、そこまで先々のところまで思考が及ばないということもあると思いますが、そこがある意味での落とし穴にもなります。

実際、フェイスブック集客やアメブロ集客に依存しすぎることで、その先の展開を自分たちで考えられなくなってしまっているのも、女性ネット起業の実態でもあると思うのです。

女性起業の成功事例(ロールモデル)

ここからは、経済産業省の活動報告書に記載されていた事例(ベストプラクティス)を見ながら、考察を進めていきたいと思います。

事例紹介されるほどなので、趣味起業の延長という方はひとりもいませんが、その軌跡を辿ることで勉強になることはたくさんあるはずです。

子連れOKのシェアオフィス

株式会社ビズホープ
コトリスラボ

静岡県内にある、女性が子連れでも利用できるシェアオフィス事業です。

デザイナーや女性料理人、カメラマン、翻訳家、各種士業など、様々なスキルを持った60名以上の女性が集い、コラボレーションをしていく。そういった事業のようです。

その中でも注目は、クリエイターたちがチームとなり個人では受けられない行政や大企業からの仕事を受注するというワークシェアリングのシステムです。

特にフリーランスの方は集客に労力ばかりをかけていられませんので、法人からの受注がある仕組み作りは長くビジネスを続けていく上でも重要なことです。

コミュニティスペースとしては同じく、沖縄県のこちらも事例紹介されています。

沖縄ガールズビレッジ

地域プラットフォーム「faavo那覇」キュレーターということもあり、クラウドファンディングの使い方や活かし方などのレクチャーなどもあるよう。

ママのためのコミュニティ運営を考える多くの女性たちにこれまで私も出会ってきましたが、それを実際の活動にまで発展させている人はほとんどいません。

その背景にあるのが、しっかりと地に足のついた事業計画や融資援助、資金計画などを持ち合わせていないというところかなと感じています。

ネット起業家たちには基本的にそれらの発想はありませんので、どうしても情報源に偏りがあると実現を妨げる要因になってしまいます。

そのため、これらの公的な起業ネットワークの仕組みを検討するのもひとつの解決策かなと思います。

育児ブランドの発売

株式会社 ルカコ
抱っこひも収納カバー「ルカコ」

育児の便利グッズの製造・販売をしている会社です。

代表を務める仙田忍社長の経歴は、長男が2歳の時にお小遣い5万円を元手に起業。1年でママスタッフ12人、縫製委託スタッフ20人の雇用を生み、起業から2年で月商ギネス650万円を達成、とあります。

関西のビジネスコンテストでファイナリストに選ばた実績もあるようです。

Power mama というサイトにインタビューが掲載されていたので、そちらのリンクも合わせて掲載させていただきます。働くママとしての視点が書かれています。

人と比べない。自分が幸せかどうか、それだけ。

別のインタビュー記事では、次のような紹介がされていました。

2千円で生地を買って縫製し、ネット販売用のホームページを自作し、手持ちのカメラで商品を撮影して掲載した。すると口コミで評判が広がり「10万円のパート代を稼ぐつもり」が、半年で月商100万円に達した。

最近は百貨店の催事にも引っ張りだこで、今や月商は500万円。32人の主婦パートが商品づくりを支えている。

中小企業応援サイト
Bplatz

大切なのは、サクセスストーリーの輝く面ばかりに注目するのではなく、その裏のストーリーであったり、起業した方の資質や能力、強み、リソースなども合わせて考えることです。

間違っても「月商500万円を目指したいので、生地の縫製をしてネット販売をする方法を教えてください」という趣味としてのハンドメイドの延長な考えを持ってはいけません。

事業を興すための、起業家の資質を見極めないといけません。

私(大崎博之)の思うところ

大崎博之の画像

私も気付くと、2015年に自分のビジネスを正式にスタートさせ、2年以上女性起業家支援という枠組みの中で仕事をしてきました。

そこで改めて分かったのは「個人起業家」「おうち起業」「趣味起業」というように、起業に対するイメージ、概念が変わってきたということ。

それにより起業のハードルも下がり、”雇われない働き方” が定着してきたように思います。

一方で、あいまいな起業のイメージは綻(ほころ)びも生んでいます。

私の考えとしては、どんなに「起業」のイメージや概念が変化しようと、そこにある役割は2パターンしかないと結論付けています。

それが、

  • フリーランス
  • 起業家

の2種類です。

法的な概念としての起業家とフリーランスの違いは、別の記事に書かせていただいておりますが、これからご紹介するのは、もっと本質的な部分での違いです。

この本質的な違いから、どんな綻びが生まれたと思いますか?

まずはフリーランスと起業家の定義から考えたいと思います。

フリーランスとは?

自分の技術を売る人のことをフリーランスと定義します。

と同時に、事業を支えるサポーターとしての役割が中心で、自ら事業を生み出す、雇用を生み出しマネジメントをする、という形は取らない人たちです。

一方で起業家とは何でしょうか?

起業家とは?

ビジネスモデルを誕生させ、事業を生み出す人を起業家と定義します。

そのため、必ずしも起業家は最初に商品やサービスを持っているとは限りません。

その代わり、世の中を変え、社会に貢献することに興味があり、集客を行い利益を生み出し続けることが起業家のお仕事になります。

立場としては従業員を雇ったり、フリーランスの方に外注するなどして、雇用を生んだり、お金が循環する仕組みなどを作ります。

その他

自宅サロンを開業するなどの、独立開業系の方がいると思います。

その場合も、自分の技術を売ることをベースに目の前の人の役に立ちたいと考え、基本的にひとりでの活動をする人はフリーランスです。

反対に、どんどんスタッフを雇い、店舗を拡大させ、技術をノウハウ化させFC展開などをさせるセラピストの方は起業家と呼べると思います。

生まれた綻(ほころ)び

前述したように、フリーランスと起業家では、根本からまったく定義が違います。

ざっくり言うと、雇われる側になりたいのか、雇う側になりたいのか、ということです。

ここでの「雇われる」という表現は、必ずしも会社から雇用されることを指すだけではありません。外注先(アウトソーシング先)として仕事をもらうのも、立派な「雇われる」という状態です。

自分から仕事を受注しに行かない限り、その他はすべて「雇われ仕事」に入ります。

それを考えると、超お得意様と呼べるようなVIPのお客様とのつながりを大切にすることがフリーランスとしての働き方にとって重要ということも分かります。

フリーで働く人たちは特に、自分のことをもっとも高く評価してくれるお客様とつながることが集客労力を減らす上で重要になります。

それを思うと、取引先が1社だけの小さな下請け会社も、あり方としてはフリーランスと一緒なのかもしれませんね。

さて。

そう考えた時に、起業家とフリーランスでは学ぶ内容も実行することもまるで違うのです。

ですが「個人起業家」「おうち起業」「趣味起業」というあいまいな境界線によって、得るべき学び、取るべき行動がちぐはぐになってしまっているのです。

そのあたりも含め、正しい知識を伝えられる人はネット起業(起業女子)の中にはほとんどいないように感じられます。

まとめ

読書用の本と栞としての落ち葉

自分だけがお金持ちになり豊かになる。

自分だけが時間から解放され自由になる。

そうお考えなのであれば気にするお話ではないのですが、社会全体から、みんなでもっと生きやすい世の中にしていきたいと考えるのであれば、私たちは次のように考えるべきかと思います。

社会をより良くする会社を誕生させる起業家を次々と生み出し、それらの事業をサポートする優秀なフリーランスの方々が、より能力を高め、より貢献し、みんなで幸せの循環を作ること。

そう考えた時、私は「フリーランス」の枠組みを超え「起業家」としての道を歩みたいと思いました。

もしかすると、そういった起業家たちをサポートする裏方の「コンサルタント」として続けるかもしれない。いずれにしても、今のままのレベルではいけない、と強く感じています。

そして、フリーランスとしての能力が高い人たちが、より働きやすい環境を整備すること。

フルリモート&時短採用か。これからの流れな感じもあるな。 https://t.co/x8RWb9OmwP

— 大崎博之(ヒロさん) (@H_Yuki2014) 2017年9月28日


優秀なスタートアップの会社は、リモートワーク(遠隔勤務)や時短でのアウトソーシングをどんどん始めています。

つまり能力さえあれば、起業ではなくフリーランスの形でも、豊かで自由な時間を手にすることができる時代になっているのです。

社会に貢献し雇用を生みたい方は「起業家」としての学びと行動。事業を支え、技術や能力を買われたい方は「フリーランス」としての学びと行動に集中する。

その【選択と集中】こそが、これからの”個人が活躍する世界”をより良くすると私は考えています。

女性が活躍するこれからの時代に、あなたはどのようなあり方、取り組み方をしていきたいとお考えでしょうか。

正しい選択と集中によって、誰にでも均等なチャンスが得られる時代になったと私は感じています。

あなたも一度立ち止まり、これからのはたらき方を考えてみませんか?

ABOUT ME
ヒロさん
「美意識のある経営と、文化を生み出す起業術」をテーマに活動中。法人向けnoteオウンドメディア研究家。
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