「無料戦略」のお話をしたいと思います。
というのも、何を「無料」にしたらいいのか、どこまで「無料」にしていいのか、誰に「無料」で提供すれば良いのか、が分からない人がたくさんいることに気がついたからです。
今日の記事では、あなたのビジネスがよりスムーズになるための「無料」を活かした戦略についてお伝えします。別名、GIVE & GIVE の法則と言います。
世の中、無料だらけです
日常を見渡してみれば、自分たちの身の回りにたくさんの「無料」が溢れていることに気が付くと思います。
例えば本屋さんでの立ち読み。私たちは商品としての本を「無料」で内容確認できるわけです。このようにして、まず世の中の「無料」にどのようなものがあるかを見ていきましょう。
無料プレゼント
専門用語で「無料オファー」と言ったりしますが、何かと引き換えに個人情報をいただく方法です。
ネットビジネスの世界ですと、PDFレポートや音声教材、動画教材、7日間のメール講座などを無料で配り、代わりにメールアドレスやLINEのIDと交換する方法があります。
もっと一般的な例ですとドモ〇ルン〇ンクルの「お試し試供品」もそうですね。住所や電話番号などと引き換えに、化粧品の無料試供が行われていると思います。
基本使用が無料
こちらも身の回りで有名なのは「LINEアプリ」だと思います。
あれだけの高性能なメッセージ機能や通話機能を「無料」で使えるなんて凄いことですよね。他にもネット関連でいえば「Skype」などの無料ビデオ通話サービスや、「Gmail」などのフリーメールサービスもそうです。無料のスマホゲームアプリも、無料ブログもそう!
もっというと、図書館や公民館、公園なども使用料が無料ですよね!
一定期間無料
会員ビジネスでよく見かけるのが「初月無料」などの売り出し方です。
最初にクレジット登録を済ませ、解約手続きをしなければ最初の無料期間が終わると「有料」に移行するというものです。
インターネットのプロバイダ使用料、1ヶ月目無料、とかもありましたね!
無料テスト
これはドラッグストアなどでよく見かけるのが化粧水や乳液などの「テスター」ですね。本屋さんの立ち読みも「テスター」に近いかなと私は思っています。
他にもスーパーマーケットで行われている「試食」なども、本当に良いものかどうかをテストする意味合いがあると思いますが、それらも無料で配られていますね。あ、パン屋さんも^^
アンケート
アンケートに答えるだけで「無料」でけっこう良いものが当たる場合がありますよね!
特に懸賞にハマっている人なんかはハガキ代こそかかっているものの、なかなか良い恩恵を受けている人もいると思います。
私も先日、2000円分のQuoカードが当たるアンケートに答えました^^
それぞれの異なる戦略
上記に挙げたそれぞれの「無料」は、どれも戦略が異なります。
それを理解していないとボランティアのようにただ無料で配布することに終始してしまいビジネスにならなくなってしまいます。
ここから改めてどのような戦略が「無料」の中にあるのかを見ていきましょう。
囲い込み
無料プレゼントを配って、商品に興味を持ってくれた方々の「メールアドレス」「LINE ID」「住所」「電話番号」などと交換する方法がありました。
これは、商品に対して興味のある方たちを先に集める意味合いがあります。もっと物理的に考えるのであれば、ゴルフに興味のある人はAという部屋に入ってもらって、コンサートに興味のある人はBの部屋に入ってください、みたいな感じです。
あとはAの部屋でゴルフの関連商品をプレゼンすればいいですし、Bの部屋でコンサート関連の案内をすれば効率的です。
有料版で機能解放
「Skype」などは特に有名ですが、無料でPC同士のビデオ通話を行うことができますが、一般家庭の電話や携帯電話にはかけることができないため、そこまでの機能を求める人は有料版に申し込む必要があります。
「会計ソフト」などでも、月に10件程度の仕分けであれば無料だけれど、それ以上の仕分けが発生する場合にも有料プラン、という考え方の商品もあります。
このように「機能制限付き」で無料で製品を扱い、さらに幅広く使いたい方には有料を提案する方法です。
別で課金モデル
無料ブログサービスなどの基本収益は「広告収入」です。
私たちが無料でブログを書かせてもらう代わりに、私たちの記事には企業広告が貼られます。その広告出稿に対して企業間でお金の動きがあるため、私たちは無料でブログがアメブロなどで書けるわけです。
つまり、私たちは無料でアメブロに使われているWEBライター、みたいな仕組みになっているわけです。
余談ですが、公園や図書館も利用者から課金するのではなく、税金という形での課金ですよね。
リスク負担
年間サービスにお申込みをすると「初月無料」などの場合は、あくまで年間サービスという本商品にお申込みをしたいけれど、実際ちょっと使ってみないことには不安だな、というユーザーの心理的負担を、売り手側の企業が負担するやり方です。
個人へのコンサルティングビジネスでも、初回だけは格安または無料で提供、というものがあると思いますが、それも同じ原理です。長期でお願いされる前提の上で、念のため初回または1ヶ月程度の無料期間を設けるわけです。
あとは期間や回数が短いという部分で、化粧品のテスターや本屋の立ち読み、パン屋さんの試食があるわけです。
リサーチ目的
売り手側の企業は常にお客様の関心の動向を探る必要があります。ニーズに応えてこそのビジネスなので。
そういう意味では、定期的なリサーチは欠かせません。小規模事業者であれば直接対面でお会いしたり、電話やメールでも調査ができると思いますが、大企業になるとそうもいかないこともあり、アンケートに答えてくれた方に抽選でプレゼント、という仕組みを導入しています。
また、個人起業家の中でも季節のイベントや自分の誕生日記念(?)で、キャンペーンを行う場合があります。
あれもどちらかというと「囲い込み」を行う場合もありますが、どういう人たちが興味を持ってくれるかというリサーチの目的がある場合がまあまあ多いじゃないかと思っています。
もちろん、買おうかどうか迷っている人の背中を押す意味でリスク負担の作戦を取る場合も兼ねているでしょう。
無料オファー戦略
ここまでいくつかの「無料戦略」をお伝えしてきましたが、基本的に個人起業家として活動するコーチ・コンサル・講師の人たちが集客の段階で取る戦略は「囲い込み」のための方法です。
この囲い込みのために使う無料プレゼントのことを「無料オファー」と呼びます。ここからはその具体的な作り方、そして活かし方をお伝えしていきます。
無料オファーの作り方
ポイントは、有料のサービス(商品)と変わらない品質のものを届ける、ということです。つまり出し惜しみはしない、ということになります。
じゃあ自分の商品のすべてを無料化したらいいのかというと、当然そんなわけもなく、あくまで一部分を無料で切り取るイメージです。
具体的には、有料のセミナーで使った「テキスト」をメールで送ったり郵送したりする方法。または有料セミナーの音源の一部(10分程度)をプレゼントするなどが挙げられます。
7日間の無料メール講座などを作る場合には、本商品のカリキュラムが数多くある中で、一番効果的なポイントを1日に1つ伝えるのも良いでしょう。とにかく品質に満足してもらうことが大切です。
ここで大切な要素を挙げるとすれば「労力のかからないもの」「時流に合ったもの」を選べているかどうかが重要です。
上記の例のように、すでにあるものを活かしたり、有料商品の一部を切り取るなど、労力の負担が極力減らします。本を出版しているのであれば一部を小冊子にしたり、会員ビジネスであれば最初の1ヶ月を機能制限して無料お試ししてもらうなどがあります。
さらに「時流」や「流行」を意識すれば、登録率は上がります。
ちょっと理解するのに難しく感じられる方もいらっしゃるかと思いますが、本商品の本質は変えずに、切り口の部分は時代やニーズに合わせて変化させることがとても重要なのです。
無料オファーの活かし方
実際に無料オファーを作ったら、それを活かすことが大切です。
これはビジネスの話をしているので、成果としての「売上」につながるような仕組みがそもそも必要なわけです。
例えば無料オファーを配ることで100件のメールアドレスが集まったとしましょう。
そのうち、低価格のお試し商品を買う人が10人現れて、本命の高額商品を買う人が1名集まったとします。
すると、100人(無料)→10人(低単価)→1人(高単価)という流れが作れます。
ここまでくればあとは数字をいじるだけで良いですね。最初の100人を200人にすれば最終的な売上が倍になりますし、100人の数字はいじらなくても単価を少し変えるだけでも売上はアップします(消費税を上乗せするとか)。
もちろん値上げによって成約率が変わることもあるでしょうから、そのあたりも含めてまたテストを行うわけです。
この流れの作り方をDRM(ダイレクト・レスポンス・マーケティング)と言います。
無料→低単価→高単価→継続課金サービス、のような「仕組み」があって初めて「無料オファー」が生きてきます。
このDRMに関してさらに詳しく勉強したい方は、こちらの記事も参考になると思います^^
無料の間違った使い方
最後は「無料戦略」の落とし穴についてです。
実はここまでお伝えしてきた「無料戦略」の中で、とっても重要な要素が1つあったのに気がつきましたでしょうか。
それは、
「自分に負担をかけない」
ということなんです。
2点ほど大事なポイントがあるのでお伝えしますね!
タイミングが命
コンサルティングビジネスに限ってお伝えすると、一般的に、新規の方に対して「無料体験コンサル」を売るのはNGとされています。
なぜかというと、本商品に申し込む気のない、ただのクレクレ星人が混じる可能性があるからです。
クレクレ星人というのは、無料と名のつくものであれば何でも飛びつくような人たちのことを言います。(ちなみに低単価のものばかりを渡り歩く人たちをジプシーと言います)。
このクレクレ星人にぶつかってしまうと、1ヶ月間の「無料体験コンサル」を10人にやった結果、ご成約が0名ということが起こり得ます。
ですのでちゃんと「本命商品に興味があって相談したい人」に限定して告知をしないといけません。大事なのは、相手に伝わるまで、伝わるように告知することです。
けっこうみなさん、告知記事をちゃんと読んでいるようで読んでいないので要注意です。
ただし例外が1つあって、それはセミナーや説明会などに「お金」を払ってきている方々に「無料体験コンサル」を提供する場合です。
この場合は文章での告知と違って、口頭でしっかりと「本命商品に興味がある人は無料で相談に乗ります」とハッキリと伝える機会があるので、無料の提供でも差支えはありません。
要・本気度チェック
これは本当に悲しいことなのですが、十分に「本命商品を買う前提での無料コンサル」とお伝えして、本人も「私、本気です!!」と言いながら、言葉と行動が伴わない人も一定数います。
どういうことかというと、
「では、体験コンサルの前に事前参加シートへの記入をメールでご提出お願いします。A4で1枚、10項目程度の質問ですので」
ということをお伝えすると、
「わたし、書けません…。本気なのに、悔しいです…」
という人が、本当に存在します。ジョークではありません。たった10個の質問の参加前シートも書けない人が「私、本気です!」という世の中であることをぜひ覚えておいてください。
ですので、どんなに言葉で「本気」と言っていても、それに対して「行動」が伴っているかどうかは、できるだけ早い段階でコーチ・コンサル・講師の方は見極める手段を持っておいてください。
まとめ
ここまでいくつかの「無料戦略」について書いてきました。
それぞれ実はマーケティング用語で「フリーミアム」とか「リスクリバーサル」みたいな専門用語がついているのですが、今回はあえてそういった用語を使わずに身近な例でお伝えしてきました。
もしあなたが自分おビジネスで「無料」の戦略を取り入れることを考えているのであれば、それが「ボランティア」「慈善事業」にならないよう、しっかりと仕組みを構築することをお勧めします。
何も考えずに「無料」にしたばかりに、自分への労力負担はどんどん増すにもかかわらず、お金は1円も生み出されない、ということは往々にして起こり得ますので。
今日の記事があなたの「無料戦略」に貢献することを祈っております。