「一時的な月商7桁は誰でもできる。大事なのはそれを続けること」
このような謳い文句が2016年頃、一時期SNS上で流行したことがありますが、実はこの表現も現在では適切でなくなっているかもしれません。
というのも、女性起業ブーム、SNS起業ブームの最中では、需要がどんどん高まり、価格も高騰していくという背景がありました。
これがブームの終焉と共に「供給過多」の状態となり、冒頭の「7桁は誰でもできる」という状況から、「SNS起業で7桁すら今は難しくなってきている」というのが現実問題として起きているのではと感じています。
今日の内容は、こういったブームに左右されない起業術についてお伝えしていきたいと思います。
ティッピング・ポイントを理解する
あなたはティッピング・ポイントという言葉を聞いたことがありますか?
辞書やインターネットの検索で調べると、次のような解説が載っていると思います。
それまで小さく変化していたある物事が、突然急激に変化する時点を意味する語。
臨界点や閾値(いきち)と言い換えられることもある。
自転車の練習をしていて、ずっとうまく乗れなかったのにいきなり乗れるようになるとか、英語の勉強をしていてずっと話せなかったのが、いきなり会話がスムーズになるとか。
あなたも経験はありませんか?
特にWordPressで長くブログを書いている人の中には、ずっと記事を書き続けているのにアクセスが伸びなかったのが、ある日突然アクセスが伸びて、それが安定するという現象を体験したことがある人もいるかもしれません。
このような、閾値を超える時点のことを【ティッピング・ポイント】と言います。
起業のティッピング・ポイント
講師、コンサル、コーチ、カウンセラー、セラピストに代表されるような【個人起業家】の方々は、起業初期の頃には何をどう努力しても売上がまったく上がらないという状況を体験したことがある人も多いと思います。
Facebookをどんなに投稿しても反応はゼロ、ブログをどんなに一生懸命書いても見向きもされず、交流会へ行っても逆に誰かの商品を売り込まれたり…。
そんな状況に悩まされていたとしても、正しい努力をしていれば必ずこの【ティッピング・ポイント】に到達し、閾値を超えたあたりからいきなり売上が立ち始めます。
正しい努力とは何か?
正しい努力というのは、商品のコンセプトや切り口を事前のマーケティングによって確定し、その認知を広げるための活動を適切に行う場合のことを言います。
特に、SNSやブログをがむしゃらにやるのではなく、すべて集客動線に基づいた適切な使用ができていることが前提になります。
今から初めて起業するという方は、こちらの記事を参考に “正しい努力” が何かを確認すると良いでしょう。
ティッピング・ポイントを超えた先にあるもの
私自身の体験談として、このティッピング・ポイント(閾値)を超えたなと感じる瞬間は、数か月単位で起きる場合もあれば、年単位で起きるなと感じる部分もありました。
実際の事例として、ここからは私がどのようにティッピング・ポイントを実感し、その前後で何がどう変わったのかをお伝えしたいと思います。
認知の広がりを実感した瞬間
起業初期で確実に売上を作るためのポイントは、リアル集客をいかに行うか、という部分があると私は考えています。
まずは身の回りで困っている人たちのニーズに応えていったり、これまでの人脈のつながりを辿って、必要としている人に必要なものを届けることで売上は作られます。
私はご多分に漏れず、リアル集客から始まった口でした。
ですが、このリアル集客や口コミだけを頼りにするビジネスにはどこか不安定感もあり、私はWEBからの集客にも力を入れることを考えて実践していました。
具体的には、Facebookの毎日5投稿や、毎日のブログ投稿ということをやっていました。
その努力が実ったのが、起業してから3ヶ月後のことでした。
当時私が夢中になっていた【強み発掘】と呼ばれるセッションを無料または格安で実施したり、ビジネスノウハウのDVDを使って鑑賞会&勉強会などを1,000円ぐらいで行っていましたが、その集客がポツリポツリとWEBからできるようになりました。
その翌月には、モニター価格の5,000円~10,000円の個別コンサルティングなどもSNS経由で売れるようになりました。
この時にはFacebookの友達も1,500人ぐらいはいたかなと思いますが、それなりに私自身と商品の認知が広がってきたかなということを実感していました。
売上につながりだした瞬間
認知の広まりを感じた頃からさらに3か月後、WEBでの集客から高単価の商品が売れるようになりました。
月々3万円の半年契約などが取れるようになったのです。半年前の何もない状態からは信じられないような変化でした。
それまでは数千円から数万円の売上ばかりだったので、月商で20万円ぐらいでも大喜びの状態から、200万円近くまで伸びたので本当に驚きでした。閾値を超えた瞬間だと思いました。
年単位で起きるティッピング・ポイント
正しい努力を積み重ねれば、数か月単位でティッピング・ポイントを実感することができると思います。
初めて作った商品がなかなか売れずに、もがき苦しむ時期もあるかもしれません。仮に何か一足飛びの成功があったとしても、事業の基盤が整っていなければ、またいつ売上が立たなくなるのか不安は続きます。
ですが、正しい努力を続けていれば、年単位で次のような変化が起きることを私は実感しています。
1年目の起業と変化
1年目というのは、自分の商品づくりとブランディングの年ではないかと私は考えています。
まずは自分の強みや経験を活かして商品を作り、それを身近な人や人脈のつながりで、低価格でも良いので提供し続けます。
実際にそのようにセールスをして、お客様にサービスを届けることをしていると、徐々に自分に求められていることが分かり、自分の業界の中での立ち位置、ポジションも見えてきます。
そういった活動を含め、あなたが世の中に伝えていきたい物事を、繰り返し、定期的に発信し続けることでブランディングが成立します。
この頃は、目の前の売上というよりも、地道に身近なところから信頼を作り上げ、サービス提供を通じて商品力を磨き、WEB上でも「あの人はこういう人」「あの人のサービスはこういうもの」という認知を広げるプロモーション活動の時期なのではと思っています。
2年目の起業と変化
2年目になると、自分のポジショニングをするための材料が揃ってきます。
具体的には、同じ業界にいるライバルの動向や情報が入るようになり、お客様からも自分に何を求めているかの生の声を聞ける土台が作られ始めます。
すると、ライバルと差別化された、自分のお客様にとって本当に必要な商品やサービスを作れるようになるので、商品単価が一気に上がったりします。
値上げの背景には、経験や実績も1年目で十分に積めたからという自信も相乗効果として寄与すると思います。
私自身も、大勢向けのセミナーや体験商品であれば1万円以下の商品もございますが、実際に提供する本命商品は基本的に高額なものやコースになっているものばかりです。
それは、必要な人に必要なものを届ける土台が出来上がり始めた証拠でもあると思います。
3年目の起業と変化
この頃になると、自分の手元に顧客リストと呼ばれる「メールアドレス」や「LINE ID」、FB非公開ページなどで作るオンラインサロンの「会員」なども増えています。
同時に、B to B の形で、おひとり様経営者の小さな会社からご依頼があったり、同じ個人起業家の方からも講師依頼のオファーが増え始めます。
つまり、その分野の専門家としての認知が定着し始めるため、仮に同業の会社であったとしても、その苦手分野を補うために講師依頼の話などが舞い込んできたりするわけです。
確実に商品やサービスの提供を行っていれば紹介の可能性も高まっていると思いますし、何より自分のビジネスの集客パターンや成約パターンが固まり始めています。
ここまで来ると、シナジー効果(相乗効果)が生まれ、専門性や人脈、自然発生的な口コミ、時代背景などが様々に入り混じって大きな効果を生むようになるのだと考えられます。
ビジネスの型さえできてしまえば、あとはPDCAではないですが、改善活動を続けていくだけで売上は伸びていきます。
お客様のリピートする仕組みも整っていれば、売上は右肩上がりの状態へと入っていきます。
参考:お客様をリピートさせる方法 │ エスカレーター式・顧客魅了システムの導入
サービスの浸透までに3ヵ月を見る
正しい努力をしていれば、まったく反応のなかった集客に動きが出始めます。
特に起業初期の場合ですと、商品(サービス)を正式にリリースしてから浸透するまで、およそ3ヵ月の期間を見込むぐらいがちょうど良いと私は考えています。
すでに起業している人でも、既存の商品から新商品へと主力サービスが移行するまでに3ヵ月をみる必要があります。
理由① 認知の定着
理由の一つには、純粋に認知が広まり定着するのには時間がかかる、というのが考えられます。
十分に実力や実績があったとしても、お客様がそれを知らなければ信用も信頼も生まれません。
理由② 価値教育のタイムラグ
理由の二つ目は、価値教育です。
本当にその商品が自分にとって必要なのかどうかを、お客様は自分自身で自覚することができません。
だからそのために、価値教育の時間というのは非常に大切になります。
多くの人は、自分にとってその商品が必要なのかどうか分かりません。
メルマガやLINE@などによる継続的なメッセージを受け取ることで初めて必要性に目覚めるのです。
理由③ タイミングの問題
今すぐ購入したいという熱烈な【今すぐ客】ばかりが最初から集まれば良いですが、必ずしもそういうわけでもありません。
私の経験でも、過去にセミナーに来てくれた人が、その2年後に本命商品を購入してくださったというような事例は多くあります。
一方で、あの時は本命商品を買ってくださったけれど、今だったら状況が違うからきっと買わないだろうな、という人もたくさんいます。
それぐらいタイミングというのは大事です。
そのタイミングを逃さないためにも、定期的、繰り返しのメッセージ発信が大事になるわけです。
ティッピングポイントの起こし方
ティッピング・ポイントについては、有名な書籍があります。
その中では、ティッピング・ポイントは次の3つの原則によって実現すると書かれています。
原則1:少数者の原則 …影響力のある少数の人を媒介して一気に広まる
原則2:粘りの要素 …記憶に強く残るメッセージなどにより一気に広まる
原則3:背景の力 …人は環境に敏感であり、特殊な環境により一気に広まる
※出典:「ティッピング・ポイント」(飛鳥新社、マルコム・グラッドウエル著、高橋啓訳)
詳しく勉強したい方にはこちらの本を読んでいただくこととして、
ここでは、もっとシンプルに、じゃあ具体的に何をしたらティッピング・ポイントを迎えて、閾値を超えて大きな変化を起こすことができるの?という部分を見ていきます。
①正しい設計
今回の記事で何度も「正しい努力」という表現を使ってきましたが、原理原則を押さえた正しいビジネスの設計図は必要不可欠です。
■あなたが起業初期ならば、こちらの記事が参考になります。
■すでにお客様がいる方は自動リピートの仕組みの導入がお勧めです。
お客様をリピートさせる方法 │ エスカレーター式・顧客魅了システムの導入
②大量行動・試行錯誤
ごちゃまぜになっていた点と点が、線で結ばれた時に初めてティッピング・ポイントを迎えます。
その点が多ければ多いほど、線になり始めたタイミングで、一気に面へと変化します。これが閾値を超えるということ。
「まさかあの出来事がこんな結果を生み出すなんて!」という体験があなたにもあると思います。
ティッピング・ポイントを迎え、閾値を超えるというのはまさにそういうことです。
まとめ
ブームの最中というのはとにかく需要が高まっていますので、ビジネスの土台がなかったとしてもテクニックで月商7桁(100万円超え)という現象を作ることが比較的容易でした。
それが、需要も下がり供給が過多になることで、本当にビジネスの土台がなければ生き残りすら難しい状況へ陥ることになるわけです。
ですが一方で、正しい努力をしていれば、どこかでそれが【ティッピング・ポイント】を迎え、閾値を超えていきなり急激な変化を起こすということもお分かりいただけたかなと思います。
特に起業初期の方は、本当に結果が出るのだろうかという未知の不安や闇に呑まれやすい状態です。
ですが、その努力の先に何があるのかを知っていれば、堪えることもできると思います。
すでに同じ分野で成功している人のアドバイスや力などを借りながら、闇雲ではない、正しい努力を通して、
【ティッピング・ポイント】を超えた先のまだ見ぬ世界を体験するまで活動を続けてもらえればと思います。
活動を3年続ければ、売上の安定が見え始める。そう思えば、今の努力を頑張れると思います。
正しく、あきらめず続けていれば、必ず、売上はついてきます!
頑張っていきましょう!!