先日ツイッターを何げなく見ていたら、面白い発言が目に止まりました。
「ブロガーたるもの、代表作を持たねばならぬ」
といった趣旨の内容だったと記憶しています。
その背景には、広告のクリック収入からの安定収入を目指すブロガーたちの目に余るキュレーションサイトオンリーな思考があるのでしょう。
つまり、ブロガーを名乗っているにもかかわらず、周辺の二次情報ばかりを集めてていいのかい?と。自分らしさが溢れ出る一次情報満載の代表作を作りたくはないのかい?と。
そういう風に私は受け止めました。ですがその直後、そのツイートを読んだであろう女性がこんな返信をしていました。
「すごく納得です!私もこれから大好きなジャニーズの記事を書くことにします!」
……。
これと似たようなことを、個人起業家を志す方もけっこうしています。
特に「好きを仕事にする」という表現に対し、あまりにヒドイ誤認があるなと、すごく考えさせられることもあります。
今日はそのあたりのことを記事にしてみました。
好きなことで「成果」は取れない
好きなこと書くって、そういうことじゃなくて。好きを仕事にするって、そういうことじゃなくて。笑 基本的にお金とか成果を取ることを楽しむベースがないと、そりゃマジで趣味娯楽だわ。
— 大﨑博之@起業コンサルタント (@H_Yuki2014) 2017年4月28日
あまりにビックリして、私も思わずバレないところでツイートをしてしまったのですが、いくらジャニーズが好きだからと言って、それを記事にしたところで果たして仕事につながるのだろうか?と思ってしまった。
もしかするとその女性は、ただ趣味でブログを書いている人なのかもしれない。いや、おそらくそうだろうと思う。
ただ、同じような過ちを、個人起業を目指す人たちも平気で犯しています。そして本人たちにその自覚はない。
それじゃあ、あまりに本人たちがお気の毒なので、好きを仕事にするって、どういうことなのかを私の見解で書いてみたいと思います。
好きを考える前に「成果」
個人起業家にとっては、メディア上で発信する全ての行為は「成果」からの逆算である必要があります。
「何のためにそれを発信するのか?」が欠けているSNS投稿やブログの記事は、はっきり言ってやるだけ時間のムダです。
何かを「意図」するから結果のコントロールに向かえますし、反応が悪ければ修正もできます。
私の中でこれは【センス】という表現ができるなと今朝方思ったのですが、ビジネスセンスのある投稿や記事というのは、常に何かを「意図」していますし、目的からの逆算を持ち合わせています。
なので、あなたがジャニーズ関連のお仕事をしているのでない限り、むやみやたらに「自分の好き」だけを発信しても売上などの成果にはつながらないと思うのです。
こう書くと「私のことをもっと知って欲しいから」「人柄を感じて欲しいから」という回答もありそうですが、ブランディング上、本当にそこの部分で共感を集めるべきなのですか?ということは確認しておくべきだと思います。
ブランディングに関しては別記事で詳しく述べていますので、詳細はそちらで。
「好き」と成果は関係ない
成果、成果とちょっとうるさく感じたらスミマセン^^;
ですが、起業やビジネスを考えるのであれば「お金」や「成果」というものを得ることに対してのベースは絶対に必要です。
私の場合ですと、まさしく「好きを仕事にしたい」というタイプではありますが、もう少し深く説明すると「好きなことをしながら成果が得られるような仕事がしたい」とも言えます。
常に成果ありきの思考をしていないと、ビジネスをする上では必須の「売上」が得にくくなってしまうと思うのです。
成果を得るのは「好き」とは関係なく、あなたの強みや能力が「成果」に直結します。
「好き」が影響するのは成果とはまったく関係のない、別のところにあります。
「好き」と他社貢献の間に
とても大事なことを書きますが、仕事にするということは葛藤やジレンマを含む、ということです。
仮に「好きなこと」を仕事にできた場合、その苦しみは「なんとなく働いている会社員のそれ」とは雲泥の差があると思っています。
例えば、勉強が好きで学習塾の講師になった人がいたとします。
勉強の素晴らしさを伝えたくて「好きを仕事に」したにもかかわらず、集まってくる生徒は親からムリヤリ連れてこられたやる気ゼロの子どもたちばっかり、ということはよくあります。
文章を書くのが好きだから「ブロガー」になろうと思った場合も同じです。
検索で見つけてもらえるブログを作ってアクセスを集めようと思うと、世の中の人が求めている悩み解決の記事を書く必要があります。
それらは必ずしも、あなたの書きたい文章と一致するとは限りませんし、どちらかといえば興味のないことばかりかもしれません。
「好きを仕事に」しながら他者貢献をするということは、必ず葛藤やジレンマを含みます。
みんな、もっとキラキラした世界が広がっていると勘違いをしているのだと思うのですが、思い当たる節はありませんか?
「好き」は一体何の役に立つのか?
ここまでの記事を読んで「それじゃあ好きを仕事にするってことをあなたは否定しているの?」と思ったかもしれません。
それは違いますし、むしろ私は「好きを仕事に」することを推奨します。
では、私のいう「好き」とは何で、それが一体どのようにビジネスの成果と結びつくのかをお伝えしていこうと思います。
モチベーションの源泉になる
あなたも「好き」なことであればずっと続けられる、という経験をしたことがあると思います。
ビジネスをする上で、特に個人起業家の場合は、続けること、継続することが非常に大切です。途中であきらめてしまえば、そこで起業も終わりだからです。
ビジネスで使える「好き」とは?
「好き」のパワーが機能するビジネス的な分野は3つです。
- 営業や販売に役立つ
- サービス提供に役立つ
- 企画や調査に役立つ
例えば、ずっと人の悩みを聞くことが「好き」な人であれば聞き込み調査が得意かもしれません。
人に自分のお気に入り商品を勧めることが「好き」な人であれば営業が得意かもしれません。
ひたすら数字を追いかけることが「好き」ならば、市場調査リサーチや事務関係の仕事、数値に基づくビジネス戦略が得意かもしれません。
このように、ビジネスで使える「好き」が生かされているかどうかをよく精査する必要があります。
要は「ジャニーズが好き」とか、そういう基準での「好き」とは異なるということです。
私の場合ですと、
- 情報を集めるのが好き
- 人に分かりやすく伝えるのが好き
- 人前で話すことが好き
- 文章を書くのが好き
- ディスカッションが好き
- アイデアを企画にまとめて形にするのが好き
という資質があります。
これらの「好き」があるからこそ、この起業コンサルタントという仕事を通して「好き」に没頭できているのです。
つまり、自分のモチベーションや集中力を継続させるために「好き」があるということです。
「好き」の前提に成果主義を持つ
「好き」という自分の中の源泉はメインではなく「サブ」だという認識が良いと思います。
メインはあくまで「成果」です。お金や売上という成果をベースにしない限り「好きを仕事に」という表現は架空のキラキラとした、無意味なものに成り下がります。
好きの前提には、成果主義な思考を持つことが起業をするのであれば絶対に必要不可欠です。
そして「好き」という感情、というよりもむしろ資質は、成果を取り続けるための「エンジン」として働く一方で、アイデアやひらめき、インスピレーションを与えるような「潤滑油」のような役割も果たします。
「好きを仕事に」していようとしてまいと、成果が取れる人であれば、起業やビジネスは成功します。
ですがあなたの資質として「好きを仕事に」しなければ続かないというのであれば、ぜひ「好き」が仕事に生きる働き方をすると良いと思います。
仕事で何か大変なことがあっても「好きなこと」だから続けられるし集中力も保てる。何よりもあきらめない。
そして、仕事と切り離された「OFF」の時間であっても、遊んだり映画を見たりしているうちに、勝手に、むしろいつも以上にビジネスアイデアやインスピレーションが降ってきて、また新たなモチベーションになります。
「好き」の力は偉大です。ですが、その偉大さも「成果を取る」という前提条件ありきの中でなければ無意味です。
「パンが好き」だからパン屋をやるのではありません。
成果を前提に持つということは、
- 研究が好き
- 力仕事が好き
- お客の嗜好を読むのが好き
- 見習い修行が好き
- 早起きが好き
- 忙しい中でのスピード処理が好き
というような資質が、パン屋さんのオーナーには必要です。
これが、成果を取ることを前提においた「好き」という考え方です。
こういった「資質としての好き」が備わって初めて「パンが好き」という純粋でピュアなものが仕事として成立するのです。
今日は大切なことを書きましたので、改めて整理しますので、よく確認してくださいね!
まとめ
「好き」には種類があることをまず覚えてください。
具体的には、
- 資質としての好き
- 感情としての好き
の2種類です。
「好きを仕事に」するということは、まず【資質としての好き】が備わっていることが前提条件です。
これがなければ成果を取るために、どれだけ強みや能力を発揮したとしても、継続やモチベーションの影響に揺れてしまいます。
一方で、最後の最後まで「起業」をあきらめずに済むためには【感情としての好き】が役立ちます。
ですがこれはあくまで二次的であり、この【好き】だけで起業は成立しないので覚えておいてください。
今日は「ジャニーズが好き」というだけでは、ジャニーズ関連のお仕事で起業はできませんよ、という話でした。笑