会社員として組織で働いている人にとって、起業というのはとてもハードルが高いものと考えられています。
以前は独立開業と呼ばれる個人で店舗を構えた事業主形態や、実業家として規模の大きな会社を経営していく、そんなイメージを浮かべる人も多かったのではないでしょうか。
ですが現在は、個人が自分サイズで起業するという『個人起業家』という形が、特にSNS上を中心にして活発化しています。
あなたが思っているほど今は個人起業のハードルは高くない

誰でも個人起業家として、自宅オフィスとPC1台で起業ができるようになった時代だからこそ、本当にそれでうまくいくのか? 具体的な起業の仕方は? どんな問題に直面することが予想されるのか?
これから個人起業を考えているあなたの、ちょっとだけ先を行く先輩として、生のSNS起業の現場に携わっていたからこそ見えてきた課題や問題点、予想される悩み、などを解説していきたいと思います。
一番カンタンな個人起業の仕方
売上を最大に、コストを最小に。在庫を抱えないビジネス。
ビジネスのこの鉄則を押さえた際に、もっとも手元に残る利益が大きい個人ビジネスは『コンサルタント業』になります。
きっと情報収集をすでに始めている方であれば、個人で活動するコンサルタントの数がとても多いことに気がついていると思います。
ここでは具体的に、会社員の方がテスト的に試してみたり、専業主婦の方が時間のスキマを見つけて試すことができるものをいくつか具体的なビジネスアイデアとして提案させていただきます。
さらにコンサルタント起業に興味がある方は、コチラの記事も役に立ちます。
セールスコンサルタント
あなたは会社員時代に営業や販売の仕事をされていたことはありますか? そこで学んだノウハウや知識、経験、スキルというものは十分に換金価値があります。
個人で活躍する個人起業家のネックは【受注が取れない】ということがほとんどです。個人でたくさんの人数を集客するには労力がかかるため、少ない人数でもご成約がいただけるセールスコンサルタントには需要があります。
〇〇集客コンサルタント
上記にも書いた通り、個人起業家だけでなく、ビジネスをしている人にとっていつも頭の片隅に残る問題が【集客】です。
しかし、ただの集客コンサルタントではハードルが高すぎます。チラシ集客、FAX集客、メルマガ集客、LINE@集客、インスタグラム集客、などなど。何かに特化しましょう。
ここで大事なのはあなたの成功体験です。趣味でもイベントでも良いので、人を集めることができた経験を整理してみましょう。
才能分析・キャリアコンサルタント
自分にはどんな知識、経験、スキル、ノウハウがあるのかを、多くの人が知りたがっています。
不思議なもので、自分のことを自分で理解することは非常に難しく、自分の中では当たり前になりすぎていることから、その才能に気付けないという例は数多く報告されています。
あなたにはどんな才能や能力があり、ビジネスとしてどんな可能性を持っているのかを伝えるお仕事には需要があります。
〇〇専門コンサルタント
けっこう意外なところで、すでに供給過多、飽和状態になっているのが「コーチ」「コンサル」「セラピスト」と呼ばれる職種の人たちです。
特にコーチングスクールが一気に受講生を増やしてきた背景から、稼げないコーチが多発。同じくサロネーゼ、自宅サロンのブームによって稼げないセラピストも多発。それらをサポートするコンサルタントも飽和し、稼げない方が多発…。
この「コーチ」「コンサル」「セラピスト」専門のコンサルタントは、ご自身の年商レベルで1000~5000万円以上に到達している必要はありますが、まだまだニーズのある分野です。
イメージコンサルタント
通称「イメコン」と呼ばれるこのお仕事の内容ですが、その名の通り「印象・イメージ」をプロデュースするお仕事です。
パーソナルカラー、骨格診断、メイク、ヘアアレンジ、ファッションなどなど。色彩心理やマナー、立ち振る舞い、歩き方なども含め提案するお仕事です。
同様に、個々に特化した「骨格診断士」「メイクセラピスト」「ファッションコンサルタント」などの仕事もありますが、単価が安くなりがちで高単価を取れない傾向がありますので注意が必要です。
パーソナルカラーをお仕事にしたい方はコチラ。
高単価商品の設計についてはコチラ。
まだまだある! 個人起業の仕方2

上記は手元に残るキャッシュが多く、とにかく利益率が良い(原価ゼロ円、仕入コストもなし)ということで提案させていただきましたが、実際に個人コンサルタントが飽和しているのも事実です。
では、その他に需要のある分野としてどんな個人起業の仕方があるのかを見ていきます。
「占い師・鑑定士」として起業する
占星術や算命学、四柱推命を始めとする各種占い・鑑定の資格や養成講座を卒業して起業する方も増えています。
一方で、イベント出店止まりや友だちに鑑定する、というような趣味の領域が抜けられない方が多いのも特徴です。ですが、しっかりと利益を生み出している方がいるのも事実。コツは、自らも養成講座を教えられるような商品設計です。
詳しくはコチラの記事に書きました。
「ハンドメイド作家」として起業する
メルカリやBASEなどのフリマアプリやネットショップを使って自分の作品を売ることができます。
ですが売上ベースで考えますと単価がどうしても数百円~1000円前後となる傾向もあることから、趣味起業という言い方がふさわしくなる傾向はあります。
…これが「家具」のレベルになると楽天などで販売することで一企業として数千万円の年商になる事例はあります。
ハンドメイドで趣味起業したい方への詳しい記事はコチラ。
「ママへのサービス提案」で起業する
需要としても一番多い分野がここです。
キッズラインさんがベビーシッターの派遣事業を始めましたが、少子高齢化、女性雇用の拡大という国レベルの政策、日本の実際の状況を踏まえると、今後確かにニーズのある分野です。
ですがここでの一番のポイントは「低単価・大量集客・高リピート率」を前提にするビジネスにすることです。
かつて資格ブームの際にベビーマッサージ教室がものすごく流行りましたが、実はあのビジネスは難しいです。詳しくはコチラに書かせていただきました。
商品の単価レベルは誰をお客様にするかで決まりますが、ママさんはもっとも価格にシビアであり、投資感覚よりも消費感覚のマインドが強い傾向にあるため、かなりよく考えないと個人レベルでの起業では失敗のリスクの方が高い分野です。
ボランティアであればイベント集客などの実績を作ることもできると思うので、そういった実績作りにもいいですね。
個人起業でよくある失敗例・失敗事例

起業で失敗する人、しない人。そういうテーマでブログ記事を検索している方も多いと思います。
ここでは具体的に個人起業にチャレンジしようとしたけれど、すぐに軌道に乗らずに挫折してしまった例や、個人だからこそ陥ってしまう失敗や成功しているように見える方の裏側などを紹介します。
失敗例① お金を払うほどのニーズがない
周りで困っている人がいるのを見て、ここに需要があると敏感に感じる方がいると思います。かなりいい感じですね!
ここで一歩踏み込んで欲しいのが、「高いお金を払ってでも解決したいニーズ」なのかどうか、ということです。
特にママさん起業で本当に多いのですが「子育て系」は、ニーズこそあれど、高単価商品は動きません。仕入コストのないビジネスをする代わりに、自らの肉体労働でサービス提供をする個人起業家にとって、これは致命的です。
個人起業家のビジネスの基本は「少ない集客・高単価・高成約率」が基本条件です。高いお金を払うほどのニーズがなければ、どんな困りごとが目の前にあってもビジネスにはなりにくいのです。
失敗例② 家庭で人間関係バランスが崩れる
『ユダヤ人大富豪の教え ―ふたたびアメリカへ篇』著:本田 健
の書籍の中で「人間関係のマトリクス」が紹介されています。この図がとても的を射った表現でよく私も引用させていただいております。
要は、
■ポジティブ自立
■ポジティブ依存
■ネガティブ自立
■ネガティブ依存
の人間特性が個々にあり、家族として家庭が成立するためにこのバランスは保たれています。
分かりやすい例でいうと、家庭を見てくれる女性を求めて結婚したのに、ある日いきなり起業したら求めていた結婚家庭像とは異なってしまうような事例はよくあります。
詳しくは本田健さんの書籍を購入して読んでみてください^^
失敗例③ 資金のショート
売上が立たずに貯金が目減りしてしまう例で、これが一番多いと思います。
このリスクを避けるためにも起業前には①見込みのお客様がいる ②PR可能な商品の圧倒的実績がある の2点は最低でも押さえておきたいところです。
実績と商品に興味のある見込みのお客様がすでにいれば、どちらかというと貯金がほとんどなくても軌道に乗ることはできますが、その逆はまずうまくいきません。
ですが、多くの人がこのミスをしてしまいます。貯金なんてあっという間になくなります。生活費もそうですが、固定費がかかるようなビジネスの場合はより顕著です。
失敗例④ 流行やブームの一過性ビジネス
これこそが個人起業家の一番のリスクです。特にネット関連のITインフラや利用者状況というのは恐ろしいスピードで変化しています。
2014年頃には「アメブロ×フェイスブック」は最高の集客方法とされていましたが、2017年に入ると一転、「アメブロ×フェイスブック」の集客ほどリスクのあるビジネスは無い、と言われるようになりました。
このブログでもテーマにしている「女性起業市場・SNS起業市場」も流行・ブームの産物です。
どんなビジネスでもそうですが、マーケットの流れを読みながら刻一刻と変化する不安定な波に乗り続けることが個人起業家の使命とも言えます。
失敗例⑤ あきらめてしまう
意外かもしれませんが、これが一番深刻な起業の失敗事例です。
魔法のコンパスの中でキンコン西野さんがステキなメッセージをあとがきに載せていましたのでご紹介させてください。
僕らは今、この瞬間に未来を変えることはできないけれど、過去を変えることはできる。
* * *
ネガティブな過去を、人前に晒してネタにすると、目の前の人達が笑ってくれて、その瞬間、ネガティブな過去が輝き始める。
* * *
一方で、失敗もあるだろう。挫折もするだろう。痛みを知るだろう。涙する夜もあるだろう。ただ、そんなものは大した問題じゃない。恐れる必要はない。
失敗も、挫折も、痛みも、涙した夜も、いつかは必ず過去になる。
そして、そのとき僕らは、その過去を変えることができる。
* * *
失敗なんて存在しない。失敗を存在させているのは、いつだって自分自身だ。
* * *
「うん。迷走してるよ。キミみたいに、誰かが舗装してくれた道を歩いていないからね」
失敗例から学ぶ、失敗しない起業の方法とは?

あきらめなければ失敗はない、というつもりはありません。
失敗を過去にして笑い飛ばすことはできますが、当然、失敗を前提に起業したい人なんていませんよね?笑
ポイントは明確です。
①事業は利益率が高いサービス
・付加価値で高単価
・原価が安く仕入れコストがない
・高リピート率
②ニッチでオンリーワン
・オリジナリティ
・ハイクオリティ
シンプルですね!
だからこそ、固定費をかけずに、PC一台で自宅オフィスで起業ができる『個人起業家』としての起業がお勧めですし、そこを起点にビジネスを拡大させていく足掛けにすると良いと思います。
まとめ

失敗しない起業の一番のポイントは、最初からお客さんがいる状態からスタートすることです。
最近では大手企業でも副業がどんどん解禁されています。もし副業禁止でもボランティアとしての行為であれば、サークル活動的にアクションを起こすことができます。
必ずしも起業してからじゃないと見込みのお客様が現れないというのは思い込みです。
最初からお客様がいる状態で、仕入価格や固定費のかからないビジネスで、とにかく原価が安く、付加価値で単価を上げられるようなビジネス。それがもっともリスクの少ない安心した起業法になります。
もちろん、いつまでも小規模のままでは『起業』とは呼べず、個人事業主の域を抜けられません。それでも、最初の一歩はそれで良いと思っています。
元トレンダーズ代表の経沢香保子さんは書籍『自分の会社をつくるということ』の中で、経営を安定させるためのキーワードとして次の5つを紹介されています。
1. 事業ドメインを明確にする
2. 事業として確立する
3. リスクを分散し、顧客を創造し続ける
4. 組織を構築する
5. 社会に必要な存在となる
文章力、特にコピーライティングと呼ばれる技術を身につけ、オンラインツール、特にブログとSNSの活用法を自分のビジネスに最適になるような使いこなすことです。
その土台を持って、オンリーワンの商品を作り上げお客様に届ける。
この方法論は鉄板とも呼べるほどの王道ではありますが、もっともリスクも低く、飛躍のチャンスも十分にある起業の仕方です。ぜひ参考になさってくださいね。
