商品作りを行う際に、自分の推測や予想、または妄想によって商品を作ってはいけません。
作り上げる商品が必ず売れるようにするためには必ず「マーケティングリサーチ」というものを行う必要があります。
ですが難しく考える必要はなく、もっとも基礎的なリサーチは、直接お客様の声を聞く「ヒアリング」になります。
その時に気を付けるべきこと、落とし穴になってしまう部分も一緒に確認していきたいと思います。
ヒアリングの目的は何か?
ヒアリングをする目的の一つには、適切な「コンセプト」を作ることが挙げられます。
コンセプトというのは、あなたの商品の全体を貫く芯、骨格のようなものです。このコンセプトが明確になって初めて、商品の開発や情報の発信に着手できます。
有名なアニメ映画に『君の名は。』という作品があると思いますが、あの映画のコンセプトは「想いと願いを他者に届けようともがくこと」とされています。
すでにご覧になったことのある方であれば、そのコンセプトが映画全体を通して貫かれている芯だということが分かると思います。
商品作りの観点からいくと、このコンセプトを決める際に、お客様を誰にするのか、という部分は非常に大きなポイントになります。
女性客に対して「大盛りの定食で元気を」というコンセプトにはならないでしょうし、男性客に対して「マイナス5才肌」というメッセージはほぼ響きません。
コンセプト作りの際には、商品提供をする対象の相手、お客様(ターゲット)は誰なのかは非常に重要です。
この時にたった一人の理想客(ペルソナ)を設定することが望ましいです。
ペルソナの設定方法などについては、以下の記事を参照してください。
ヒット商品の影にリサーチあり
人はついつい、自分の売りたい商品を作りたくなる傾向があります。
これはどうやら、年商が億越えしている経営者の方でも、そういうことはやってしまいがちだと聞きます。
ここからは、起業準備中の方の商品開発用『ヒアリング』と、起業後に既存商品の売上をUPさせていきたいと考える時に行う「ヒアリング」の両方をお伝えしていきます。。
同じヒアリングでも、やり方はまったく異なります。
起業準備中のヒアリング調査
起業前ということは、ヒアリング調査ができる人がいないため、知人や友人の中で、想定している顧客像に近い人がいるかどうかを調べてから聞く方法があります。
例えば、肌荒れとダイエットの両方の悩みに効く商品であれば、あなたは「肌荒れとダイエット」に悩んでいる友人や知人にヒアリング調査ができます。
具体的に、どんな食生活で、どんなライフスタイルで、どんな悩みがあり、解決のために何をしようとしているのか、などなど、細かく聞き取り調査ができるはずです。
もし身近でそういう人がいなければ、SNSやインターネット上のQ&Aサービス(ex: ヤフー知恵袋など)を使うことでリサーチすることができるのではと思います。
似たような商品を売っている人がいれば、その人のウェブサイトを見てみたり、セミナーなどを開催していればそこに潜入して参加者の方々とつながることで情報が得られる可能性もあります。
特に有効なのは、同業他社のホームページに掲載されている「お客様の声」を読むことです。
そこには、顧客の切実な悩みと、それをどう解決したかのストーリーが載っていることがほどんどです。ぜひ活用しましょう。
どうしても難しければ、本やブログなど、とにかく少しでも情報を拾えるところから、空想の人物にはなりますがペルソナと呼ばれる、たった一人の理想客を描くことができます。
ペルソナの作り方に関しては、こちらの関連記事をお読みください↓
起業後のヒアリング調査
すでに起業しているあなたの場合、既存客と呼ばれるお客様がいるはずです。
そしてその既存客の中には「上得意客」と呼べるようなV.I.P客もいると思うのです。ここでのV.I.P客の定義は、あなたの事業理念に共感していて、商品も愛していて、高額な商品も買ってくれている方、と位置付けましょう。
あなたの既存客、その中でもV.I.Pと呼べるようなお買い上げ額が上位トップ10に入る人たちへヒアリングリサーチ(聞き取り調査)を行うようにしてください。
その中で、なぜあなたの商品を買ってくれたのか、なぜ競合ではなく自社を選んでくれたのか、どのような深い悩みがあったのか、もし口コミするとしたらなんと言ってご紹介してくれるか、など。
そういった質問をしていってください。あなたの商品が選ばれた理由が見えてきます。
特にこの「選ばれる理由」というのは、USPと呼ばれる独自のウリにもつながる貴重な情報源なので、必ず押さえるようにしながら、商品のコンセプトを作っていきましょう。
USPに関して詳しく学びたい方はコチラの記事へどうぞ↓
USPとは何か? │ 起業家の覚悟が問われるたった1つの約束
ペルソナとの関係性
たった一人の理想のお客様像のことを「ペルソナ」と呼ぶというお話をしました。
このペルソナを設定することと、売れる商品コンセプトを作ることはつながっています。
誰に対して商品を提供するのかが明確だからこそ、それを貫くコンセプトも明確になりますし、キャッチコピーのように一言でも伝わるインパクトを与えるメッセージが作れるようになるわけです。
自分のお客様が誰なのか分からなければ、ヒット商品は生まれません。
すべてのビジネス活動は、お客様を正しく理解すること、と言っても過言ではありません。
そのためにも質問力、ヒアリングの力が不可欠というわけです。
質問とヒアリングによって正しい情報を引き出せなければ、コンセプトメイキングもペルソナ設定も本質を外してしまいます。
ちなみに「自分のお客様をたった一人に絞り込むことなんてできません」という方も実際はかなり多くいらっしゃいます。
ペルソナ設定をしたがゆえに行動できなくなる、という現象もよくある話です。
ですが、この件に関しては誤認や誤解があるので、もしあなたが、たったひとりの理想客(ペルソナ)を設定することで苦しくなるようでしたら、以下の記事も参照してみてください。
ヒアリングの落とし穴
このヒアリングについて、気をつけるべき落とし穴が一つあります。
それが「お客様の御用聞き」にならない、ということです。
お客様のご要望に答え続けていると、実は意図とは反対に、まったく売れない商品ができあがってしまうこともあります。
フォードの事例が有名なのでご紹介しますね。
馬車と車とヒアリングの関係
T型フォードという車を作ったフォードという男性がいました。
彼は顧客の表面ニーズを無視し、本質ニーズを捉えた例としてよく紹介されたりしますが、当時のニーズは「より速い馬車が欲しい」ということでした。
このニーズに応えると、フォードはより速く走る馬車を作ることが正解ですが、実際に彼は「自動車」を開発しました。
「速く移動したい」という本質のニーズに応えたわけです。
革新のサイクル
起業をすると、時代のニーズ、商品の流行廃り、お客様の要望の変化など、とにかくめまぐるしいスピードで動いているのが分かるようになってきます。
この時、自分の事業分野でのお客様自体が減り、ライバルが増えるという「供給過多」の時期に入っている場合、ヒアリングによるリサーチが効果を持たない場合もあります。
つまり、お客様に聞いても、お客様が答えを知らない、自分が何を欲しいのかも分からない、言語化できない、という状態があるわけです。
ここで大切なのは、お客様の声よりも、経営者であるあなたの先見の明を発揮することであったり、フォードのように本質にあるニーズが何かを見極め、それを満たすための革新(イノベーション)を起こすことになります。
最近の例ですと、LINEの登場はシリコンバレーの人たちの間で「あればイノベーションだ」と囁かれていたようです。
従来はバナー広告などをスマホやPCの画面に出すことで広告収入を得ていたのですが、LINEはそういったユーザー目線から見て不要なものをすべて排除することにしたのです。
では、どのように収益を得たかというと「スタンプ」という概念にその答えがあります。
ユーザーがLINEのやりとりをより楽しめるよう生まれた「スタンプ」は、コミュニケーションの道具であると同時に、企業側が収益を保つために誕生した仕組みの一つだったのです。
大手企業が各社それぞれの自社スタンプを作っていましたよね。
あのスタンプを使ってもらうことで十分に広く認知プロモーションができるので、非常に魅力的だったわけです。
まとめ
新商品を作ろうと思った時、決してあなたの空想上、妄想上で商品を作ってはいけません。
その理由はシンプルで、あなたの思考とお客様の思考はそもそも違うからです。
誰に売るのか?
そのペルソナ設定を明確に行い、しっかりとヒアリングすることが起業成功のコツなのです。