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価値観・考え方

なぜあなたは「お客様の声」に振り回されてしまうのか?

オーマイガーの画像

「お客様の声を聞いてはいけない」と言われたら、あなたはどのように感じますか?

多くの起業に関する本やセミナーでは、「お客様の声を聞きましょう」「お客様のニーズを満たしましょう」ということを伝えていると思います。

確かに間違ってはいないのですが、大切なのは「お客様の声」をそのまま聞くことではありません。お客様の声を真に受けて商品を作ったりすれば、あなたのビジネスはたちまちに破たんしてしまうことでしょう。

その理由と、具体的で正しいアプローチについて今日は記事を書いていこうと思います。

お客様の声は「悪魔の声」

マグカップを持つ女性の画像

悪魔の声、だなんて言われたらビックリしますよね。ちょっと過激ですが、しっかりと印象に残してもらうために、こういったきわどい表現を使わせていただきました。

なぜ私が、こんな表現を使ってまでお伝えしたいと思っているかというと、これまでに「お客様の声」を聞きすぎて、最後には起業を続けられなくなってしまった人たちを見てきたからです。

その理由をいくつかお伝えしていきますね。

理由① ビジネス視点の欠如

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当たり前ですが、お客様はあなたのビジネスや経営のことまでを考えて「お客様の声」を述べているわけではありません。

多くの消費者は、安ければ安い方がいいし、品質が良ければ良いほど、利便性が高ければ高いほど嬉しいわけです。つまり、自己都合で意見をいうわけです。

そしてこれは、特に女性起業家の方で、「ママさん層」「主婦層」を相手にビジネスを考えている方には特に口を酸っぱくして伝えています。環境的、状況的に考えて、節約志向が働いてしまうターゲット層だからです。

そうなると当然、商品価値がどうこうよりも、まずは価格に目がいきやすくなってしまい、お客様の声を聞けば聞くほど、どんどんあなたの商品価格は下がり、自分のセルフイメージ(自己肯定感)も下がり、ビジネスとして、起業家としてやっていくことに自信を失う可能性が出てきてしまいます。

ベンチャー企業として、多くの融資を得ながら大きくビジネスを展開しない限り、客数を大きく伸ばすことはできません。すべての売上は「客数×単価」で計算されますので、客数を大きく伸ばせない以上、単価を下げる行為は基本的に望ましくはありません。

理由② ニーズを自覚していない

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「お客様の声」を聞いてはいけない2つ目の理由がこちら、「お客様自身が、自分のニーズを理解していない」ということです。

ニーズというのは、かんたんに言えば、「こういうことに困っている」「こういうことに悩んでいる」という物事です。需要であり、求めている事柄であり、必要としていること、です。

多くのお客様、おそらく99%の消費者は、自分のニーズが何なのかを理解していません。その理由を次の章でお伝えしますね。

ニーズとウォンツの違い

買い物をしている女性

起業してまもない多くの方は、ニーズとウォンツを混同して考えてしまっています。

「喉が渇いた」がニーズ(必要性)であり、「水が欲しい」がウォンツ(欲求)です。

「お腹が空いた」がニーズで、「お寿司が食べたい」がウォンツです。

「お客様の声」というのは、ほとんどの場合、「ニーズ」ではなく「ウォンツ」を指しています。お客様が自分のニーズを正しく理解しているケースは、ほとんど稀です。

代表的な例として、「自動車」があります。当時、多くの消費者は「早く移動したいから、速く走る馬車が欲しい」と言っていたそうです。その声を真に受けると、とにかく速く走る馬車を作ることが正解です。

しかし、このニーズの正体は「速く移動したい」であり、「馬車が欲しい」はウォンツだったわけです。

この時、「馬車」ではなく、「自動車」を初めて作った会社が大成功したと言われています。お客様の声(ウォンツ)ではなく、お客様のニーズを的確に解決した事例のひとつです。

「声」からニーズを読み解く方法

ノートを取る女性の画像

私も仕事柄、お客様の声をいただくことがたくさんあります。セミナーの「感想」であったり、定期的にサービスを受けてもらった上での「アンケート」という形でリサーチを行うわけです。

その中に、「どのようなサービスがあれば嬉しいですか?」というような項目ももちろんあるわけですが、それをそのまま真に受けることはほとんどありません。

直接、Skypeや対面などでヒアリングリサーチをすることもありますが、その時も「確かにそういうサービスがあると良さそうですね!」と相槌は打つものの、それをそのまま商品化しようとは思いません。

前述の通り、その意見には「ビジネス視点」が欠如していますし、なによりもそれは「ウォンツ」であり、「ニーズ」ではないからです。

では、どのように「お客様の声」から真のニーズを探れば良いのでしょうか?

ウォンツは顕在化されていない

図書館の画像

ちょっと難しい表現ですが、基本的には「ウォンツ」が最初から表面に現れることはありません。

インターネットが無い時代に、「毎回図書館に行って情報を集めるのも大変なんだよね~」と愚痴をもらす人がいたかもしれませんが、「ネットで検索をしよう」と思う人はいなかったはずです。なぜなら、そもそもインターネットが存在していない時代だからです。

コンビニがない時代に、「もう深夜だから今日はもう買いものに行けないね」とは思うかもしれませんが、「夜も遅いから、コンビニに行こうか」とは思わないはずです。なぜなら、まだコンビニ自体が存在しないからです。

我々消費者は、存在しないものに対して「ウォンツ(欲求)」を明確化することができません。では誰が、まだこの世に存在しないサービスを創造し作り上げることができるのでしょうか?

そう、それが起業家の仕事です。

ニーズはこう見つける!

パソコンと男性と女性の画像

基本的には、「なぜ、なぜ、なぜ?」と掘り下げていくことが必要です。

よくクライアントの方には「ニーズ調査はしましたか?」と聞くと、「はい、しました!」と答えはするものの、それがちゃんと掘り下げられているケースは稀です。

「自分に合う食事法が分かれば嬉しい」「夏までに痩せることができたら嬉しい」、ぐらいのレベルでストップしてしまっているのです。これでは、ちょっと甘いのです。

なぜ、食事法を知りたいのか? なぜ、夏までに痩せたいのか? そこには必ず理由があるはずです。その理由を、「なぜ?」の質問で掘り下げていくわけです。

そうすると、「食事を変えると健康になれると思っている。なぜ健康になりたいと思っているかというと、年を重ねるにつれて風邪を引きやすくなった。では、なぜ風邪をひきやすいとイヤなのかというと、仕事に支障が出るから。なぜ仕事に支障を出したくないかというと、いま出世のタイミングだから。なぜ出世したいのかというと…」

という具合に、その人の深層的なニーズがどんどん見えてくるわけです。

そうなると、本当の本当に「食事法の改善」がベストアンサーなのか?という疑問も生まれると思いますし、場合によっては、まったく別の手段が生まれることだってあるわけです(馬車ではなく、自動車だったように)。

起業家は、お客様の「深層ニーズ」を質問によって掘り下げ、推測を浮かべ、提案し、そして商品化することがスキルとして求められます。

この時に、「だって私は食事のアドバイザーだから」で思考を停止させないことです。

ビジネスの基本は「Replace(置き換え)」です。既存のサービスはもう存在しているのですから、あなたが同じものを作って売る必要性はないわけです。

そうではなく、従来の商品を「Replace(置き換え)」をして、既存のものを無力化させることが起業家の仕事です。

LINEのサービスの登場によって、従来のSMS(ショート・メッセージ・サービス)が無力化されてしまったように(一定の年齢層の方々はまだSMSを使っているそうですが、ニュアンスで捉えてください)。

浅いニーズと深いニーズ

牛ガールの画像

これは補足的ではありますが、できる限り深いニーズにアプローチした方が、ビジネス上は利益を得やすい傾向にあります。

よく言われるのが、「健康」「お金」「人間関係」に関するものには高いお金を払ってでもサービスを受けようとする、という考え方です。

私も起業コンサルティングを商品として持っていますが、基本的には「ブログの書き方を教えてください」という類のものは商品にはしていません。なぜなら、ニーズもウォンツも浅いからです。

「ブログを書けるようになる」。だから、何?

このように私は思ってしまうわけです。

ブログを書けるようになって、どんどん多くの方に読んでもらって、自分のサービスに興味を持ってもらって、理想的なお客様に囲まれながら、自分の商品をコンスタントに売っていきたい。

これなら分かります。だから私は、「起業コンサル」や「経営コンサル」を商品として販売し、「ブログの書き方」などの浅いニーズのものはサポートサービスの一貫として『無料』で教えています。

これは私流の考え方ではありますが、浅いニーズはとことんサポートサービスなどの方に回して付加価値を上げる。商品の部分に関しては、「本当の本当の本当はどうなりたいの?」という深いニーズにアプローチしたものを形にします。

もちろん、いきなり高額な商品をボンと前に出されてもお客様だって困惑するでしょうから、ちゃんと階段の用意はしますよ。事前にセミナーを開いたり、体験会や説明会を開いたり。

場合によっては「ブログの書き方」をセミナーにすることもありますが、それはあくまで体験商品的な意味合いであり、本命商品に持ってくることはありません。

ですが多くの起業初期の方は、「浅いニーズ」で収益化の難しいものを商品にしてしまったり、お客様の「ウォンツ」に振り回されて、すでに既存のサービスと同じものを作り上げ、自ら価格競争に巻き込まれて疲弊しています。

まとめ

握手する女性と男性の画像

今日お伝えしたかったことはシンプルです。

お客様は自分のニーズを正しく理解していませんし、自分の都合の良いように言いたいことを言います。それに振り回されていては、起業家としてはNGというわけです。

正しくは、お客様の声に耳を傾けつつ、本当の本当はどうなりたいと思っているのか?ということを想定しながら、しっかりと収益の上がるビジネスモデルを作り上げていく、ということです。

また私事になりますが、はっきり言って、「ブログの書き方」とか「フェイスブックの使い方」というのは、他の起業初期の方がすでに低価格で販売しています。

それなのに、それを私がやる必要なんて、どこにもないわけです。

やるべきことは、「私にしかできないことは何だろうか?」を考え続け、商品化していくことです。そのために「お客様の声」が参考になる、ということです。

あくまで参考です。真に受けてはいけませんよ。

ABOUT ME
ヒロさん
「美意識のある経営と、文化を生み出す起業術」をテーマに活動中。法人向けnoteオウンドメディア研究家。
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